内省する空間-アアルトの図書館と住宅
アルヴァ・アアルト(1898-1976)の建築には可視化できない薄いベールのようなものが存在しているように思われます。それによって包まれた室内は、一人で物思いに耽る空間、もしくは読書の世界に没頭する空間に姿を変え、人々を誘います。
フィンランド留学経験者やアアルト研究者等を集めワーキンググループを結成し、「内省する空間Introspective Space」と題して、展覧会および国際シンポジウムを開催しました。展覧会ではアアルト設計の住宅や図書館に着目し、新たに作成した模型のほか、過去の住宅模型ワークショップで作成したもの、アアルトから薫陶を受けた武藤章の図書館の模型などを展示しました。アアルトのスツールに腰掛け、模型の内部をじっくり覗き込む、というユニークな展示手法を試み、2週間の会期で約1550人の来場者がありました。
国際シンポジウムは二部構成とし、前半は新しい時代の図書館建築のあり方について、JKMMアーキテクツのテーム・クルケラとシーラカンスH&Kの堀場弘による基調講演を行いました。後半はアアルトの歴史的な検証について、アアルト財団のトンミ・リンダと研究者の和田菜穂子によるパネルディスカッションを行いました。定員を上回る254 名の参加があり、関心の高さが伺えました。
◆展覧会
会期:2019.3.4-2019.3.17
場所:日本建築学会建築博物館ギャラリー
◆国際シンポジウム
日時:2019.3.16
場所:建築会館ホール
主催:一般社団法人日本建築学会、フィンランドセンター
協賛:株式会社建築構造センター、大成建設株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社日建設計、株式会社山下設計、一般社団法人日本建築文化保存協会
後援:フィンランド大使館、東京ステーションギャラリー、北欧建築・デザイン協会
協力:工学院大学鈴木研究室、東京理科大学垣野研究室、東北芸術工科大学西澤研究室、名古屋市立大学久野研究室+有志学生(愛知淑徳大学、大同大学、名城大学、名古屋大学)、スタジオ香川、AALTO120、一般社団法人東京建築アクセスポイント、一般社団法人DOCOMOMO Japan
模型出展協力:関口美術館、写真出展協力:小泉隆(九州産業大学)
展覧会会場構成:東京理科大学岩岡研究室
キュレーション:和田菜穂子(日本建築学会建築博物館委員)